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© 2018 Harvest

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デザインとはどの様な行程で進められていくのか? またその際、どの様な考えの元、デザインは行われるのか? 今回、Harvestのブランディングをお願いした、Art Director / DesignerのYuta Takahashi氏にデザインプロセスやそのアプローチ、またHarvestのデザインに込めた想いを聴いた。

Q:今回、HARVESTのブランディングをお願いした、Art Director / DesignerのYuta Takahashiさんにお話をお伺いします。実は当初、弊社のロゴデザインのご相談をさせて頂いたところからHarvestのデザインは始まりました。Takahashiさんから社全体のブランディングを行った方が良いのでは? とのご提案を頂きましたが、まずはその辺りからお聴かせください。

 

A:はい、よろしくお願いします。ロゴデザインであれ何であれ、よく料理に例えて話をします。例えばロゴが何か料理のメニューだとして、それが活きてくるのは周りの空間、時間帯や雰囲気とマッチしている時ですよね。決して料理やインテリア、時間帯が個別に存在している訳ではなく、それらの調和が心地よい体験に繋がる。

 

ロゴデザインや会社のブランディングも同じで、何かを整えたからと言ってそれが単体で存在するものではなく、全体の融合、調和が大事なのです。ですから初めにロゴデザインのお話を頂いた時、求めるゴールのことを考えて会社全体のブランディングについてご提案をさせて頂きました。

Q:ブランディングを行う際に、最初に着手することは何なのでしょうか?

 

A:Harvestはクリエイターとクライアントを繋げ、そこに密な連携を生むことで質の高いサーヴィスを社会に提案する、というヴィジョンを掲げています。それは坂本さん(Harvest)が印刷会社に勤めていた時、扱われているデザインの質の低さに疑問を持ったことが切っ掛けで、このような事業を始められたとお聞きしました。

 

会社として社会にデザインの必要性や有用性、またそれらがキチンとした仕組みになっていることで、どの様な価値が文化的に芽生えるのか、これらを啓蒙していく中でどの様なデザインが相応しいのか、様々な業界を縦横無尽に行き来しながら必要なアイデンティティ、ヴィジョンについての構想を巡らせました。

Q:Harvestのコーポレートネームについてお伺いします。ネーミングもTakahashiさんとのやり取りの中で決定して行きました。ネーミングについてのアプローチも面白いものだと感じました。

 

A:そうですね。紙にA〜Z、0〜9まで書き出して、それぞれの単語がどの様な印象を持っているのか? というディスカッションから始めました。例えば「I」という字は「立っている」印象であって、睡眠具のロゴに適切かどうか分かりません。「O」は丸い要素で「Z」は尖っている要素とか、まず文字そのものが持つ性格を丹念に観ていきました。

 

これは会社の方向性とロゴないし全体のデザイン要素との一貫性を担保する上で重要なスタディです。特にこれはコーポレートネームの頭文字に言えて、誰もが一番最初に目にするコーポレートネームの頭文字に会社のヴィジョンやアイデンティティを表す単語を選ぶことは、一段深い心理作用として効果的な方法です。

 

そして「クリエイターとクライアントを繋ぐ」というヴィジョンを示す要素として頭文字に「H」を選ぶ提案をしました。これは縦二本の棒が立っている人にも見え、またそれらの人が握手をしている様にも見えます。これらは抽象化された言語ですが、人の心理作用に働きかける上では重要な手段になります。

 

そして視覚的に会社のアイデンティティを象徴する頭文字を選び、さらに会社のヴィジョンに相応しいコーポレートネームとして「Harvest」を提案しました。これは「クライアントの想いをカタチにする」同社の業態において、その想いを形作る=果実としての収穫(Harvest)、という意味を込めました。

Q:実際、どの様にデザインを行われたのでしょうか?

 

A:コーポレートネームが決定してから、ロゴタイプをデザインする際の書体を選定する作業に移行しました。書体はそれ自体、独自の印象を持っており、この書体選定はとても重要な行為になります。まず数百、数千の書体の中からランダムに選ばれた書体を当てはめ、それぞれの書体が持つ印象とコーポレートネーム、会社のヴィジョンとのマッチングを観ていきます。そして膨大な数のスタディをこなし、最終的に必要な要素を絞り込みます。

 

最終的にHarvestの書体選定はトラディショナルな雰囲気に見える「セリフ体」とモダンな印象に見える「サンセリフ体」の中間に位置するものを選定しました。この選択が様々な意向を持つクライアントの意見を聞き、柔軟な対応をし、幅広いサーヴィスを提案するHarvestのアイデンティティに相応しいものだと考えました。

 

そうして様々な処理を加え、ロゴタイプが完成した後、会社のアイデンティティを示す「H」を抜き出し、様々なアイテムに特徴的なグラフィックとして展開する案を構想しました。これらのシンプルながら特徴的なグラフィックは、様々なアイテムに統一的に展開され、一度見た人の印象と記憶に残るものになることを期待しました。

 

そしてカラーパレットの選定については、「白ー黒」を「芽生えー成熟」とし、「収穫」に位置するダークグレーを選択しました。全体にシンプルで落ち着きがあり、現代的、特徴的なグラフィックと品格のあるロゴタイプが調和する、Harvestに相応しいヴィジュアルアイデンティティに仕上がりました。

Q:全体のブランディングを行う際に気を付けたことがありましたら教えてください。

 

A:デザインは本当に小さな点の集合体です。つまり言い換えると一つ一つの要素に本当にこだわり、何一つ蔑ろにせず、細部の美の追求と全体とのバランスが整って初めて成立します。

 

これは意識の高いクライアントが居て初めて成り立ちますし、またその様な美の追求が許される文化的な尺度と潤いがそれらのデザインを成立させる上で前提条件となります。しかし廃退した環境や、例えば戦後の焼け野原の真ん中で誰も楽しい団欒を過ごすことは出来ず、視覚情報とはそういう風に私たちの心理に絶えず働きかけています。

 

一転、では良い環境や良い視覚物を創り上げるとどうなるのか? それは文化的な成長と人々の豊かさを形成する上で重要なことだと捉えています。私たちが生み出し、形作るものが文化を形成し、次の世代に受け継がれてゆく……そういったことを念頭に置きながらデザインをさせて頂きました。

Q:今日は色々なお話しを聴くことができました。デザインの進め方や成り立ちなど、参考になるお話をありがとうございました。

A:こちらこそ、ありがとうございました。

​Yuta Takahashi:プロフィールを見る